2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画において化石燃料がどのように位置づけられているか確認してみます。
第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました(経産省 2025年2月18日)
第7次エネルギー基本計画では、2040年度の電源構成において化石燃料は30~40%程度を賄うとされており、依然として主力電源となっています。
以下に、第7次エネルギー基本計画における化石燃料の位置付けをまとめてみました。
①総論
- 火力全体で安定供給に必要な発電容量(kW)を維持・確保しつつ、非効率な石炭火力を中心に発電量(kWh)を減らしていく
- 一層導入が拡大する変動性再生可能エネルギーとの共存の中で高需要期の供給力としての貢献を期待できるよう、低稼働電源のkW維持に必要な制度的措置や、緊急時に備えた予備電源制度について、不断の検討を行う。
- 既存運転・保守の効率化によるコスト削減やより柔軟な運用等に向けて、AI・IoTを活用した火力発電の運用の最適化・自動化、負荷変動対応や機動性に優れた火力技術開発等に取り組む
結局のところ火力発電は必要という認識のようです。発電量も足りませんし、再エネが普及することで発電量が変動するため、その変動を吸収するためにも火力発電は必須となります。完全な脱炭素はかなり遠い将来の話となりそうです。
②LNG火力発電
- 電源の脱炭素化に向けたトランジションの手段としてLNG火力の活用は必要
- LNG火力の将来的な脱炭素化を前提とした新設・リプレースを一層促進
- 水素やCCUS等を活用したLNG火力の脱炭素化についても、長期脱炭素電源オークション等を通じて促進
- 安定的な電力供給が可能となる量のLNG長期契約の確保を促進するための措置の検討
火力発電の主力はやはり二酸化炭素の排出が最も少ないLNGです。石炭発電などをLNGにリプレースしていうことが当面の課題となりそうです。LNGの安定供給も課題となっています。
③石炭火力発電
- 事業者の自主的な取組によるフェードアウトを促進
- アンモニアやCCUS等を活用した脱炭素化を、長期脱炭素電源オークション等を通じて促進
- 石炭ガス化複合発電(IGCC)等の次世代の高効率火力発電技術の開発を推進
二酸化炭素の排出量が大きい石炭火力はフェードアウトさせる方針です。ただ、沖縄など離島では石炭火力は主力電源となり続けるでしょう。また、既存の石炭火力を全て廃止することも困難ですので、アンモニアの混焼やCCUSも併用する方針のようです。
④石油等火力発電
- 石油火力の休廃止が一層進展することが想定
- 大規模災害等による電源の脱落や、需要の急増など、追加の供給力確保を行う必要が生じた際の供給力としての機能も期待
石油火力はコスト面で既に競争力を失っており、今後もフェードアウトしていくことになるでしょう。主に大規模災害時の非常用としての機能に留まることになりそうです。