今後、データセンター(以下、DC)が急増ることで、世界の消費電力も増加すると言われています。そもそも、DCとはどのような施設なのか、簡単にまとめてみました。
データセンターとは?クラウドとの違い・メリット・料金体系を紹介(ICT Digital Column 2023年1月6日)
データセンターとは、サーバーやネットワーク機器を設置するために特別に作られた建物です。内部にはサーバーを収納するラックが並び、ネットワーク機器を設置するスペースも用意されています。また、インターネットなど外部と接続できる高速回線、冷却装置、大容量電源など、サーバー設置に必要なすべての設備が整えられています。
一言でいえば、サーバー(インターネットにつながっている性能の良いパソコン)が大量に設置されている場所です。サーバーは電力消費も大きく発熱するため、大量に設置する場合は冷却する必要があります。重要なデータが入っているためセキュリティーも重要です。各会社にサーバーを設置するよりも、どこか一か所にまとめて管理した方が効率的と言えるでしょう。
DCのサービス形態は以下の通りです。
- ハウジング:DCは建物・空調・電源・ネットワークのみを提供し、顧客がサーバーを持ち込みます。
- ホスティング:DCは建物・空調・電源・ネットワークに加え、サーバー本体やOSの管理も提供します。顧客はそのサーバー上で独自のクラウドサービスなどを提供します。
- マネージドサービス:DCはアプリケーションを用いた、ITシステムによるサービスまで提供します。顧客はそのサービスのみを利用します。
今後の需要の増加が見込まれるデータセンターの主な用途を以下にまとめました。
- SIer系:ITサービス(例えば、経理システム、顧客管理システムなど)
- 通信キャリア系:通信回線サービス
- クラウド系:クラウドサービス(例えばGoogle検索、AWSなど)
その他、金融機関や製造業も自社の重要なデータを保管・利用するためにDCは必須です。
国内におけるデーターセンター数(2024年3月時点)は219となっています。世界各国のデータセンターは5,381です。日本のデータセンターサービスの市場規模(売上高)は、2022年に2兆938億円であり、2027年に4兆1,862億円に達すると見込まれています。
今後、データセンターの増加に伴い、電力需要の急増が見込まれています。
まず、AIの普及は電力の増加に直結します。
AIの普及によって電力消費量が増える? 国内外のデータセンターの現状と各国の対策は?(HATCH 2024年7月17日)
一般的なGoogle検索が1回あたり平均0.3Whの電力を消費するのに対し、オープンAIのChatGPTの1回のリクエストでは2.9Whもの電力を消費します。
通信においては5Gが普及することで、動画など大容量データが生成・配信されることになるため、それらのデータを処理するDCに対する需要はさらに高まるものと予想されます。仮想通貨などブロックチェーン技術もデータ処理量と電力消費量が大きいことが知られています。
総合エネ調 データセンター等による需要急増でヒア(原子力産業新聞 2024年6月7日)
国内のデータセンターの電力消費量については、科学技術振興機構の調査から、2018年の140 億kWhが、省エネの進展度合いに応じ、2030年に60~900億kWhに、2050年に1,100億~12兆kWhに変動すると説明した。
シナリオ次第で、2050年には10倍~100倍の電力が必要になる可能性があるとのことです。さすがに現在の100倍の電力を生み出すことは難しいかもしれませんが、電力消費量は今後も増加していく可能性が高そうです。
【参考】
データセンター業界レポート(日本政策投資銀行 2021年11月)
第8節 データセンター市場及びクラウドサービス市場の動向(情報通信白書令和6年版)