ITERに代表される核融合開発が注目を集めており、様々な核融合の実現を目指すスタートアップが生まれています。
投資マネーを集めている有望な各スタートアップの現在の状況を調べてみました。
夢の核融合 調達100億円超スタートアップは14社(日本経済新聞 2024年4月2日)
最も調達額が多かったのは18年設立のコモンウェルス・フュージョン・システムズ(Commonwealth Fusion Systems)で20億ドル超(約3000億円)を集めた。同社はマサチューセッツ工科大学(MIT)から派生したスタートアップだ。
2位のティーエーイー・テクノロジーズ(TAE Technologies)も米企業で、これまでに12億ドル超(約1800億円)を調達している。
3位の米シャイン・テクノロジーズ(SHINE Technologies)は医療用途向けの放射性同位体の製造を目指す2005年設立のスタートアップで、その中核技術を活用して40年代には核融合発電につなげたいとしている。
4位の米ヘリオン・エナジー(Helion Energy)には米オープンAIの創業者サム・アルトマン氏やマイクロソフトなどが出資している。
コモンウェルス・フュージョン・システムズはITERに比べて体積が40分の1ほどのトカマク型発電炉を計画しています。ビル・ゲイツ氏などが出資し、調達額は20億ドル(約3000億円)超に達しており、かなり野心的な計画を立てているようです。
コモンウェルス・フュージョン・システムズの特徴(エネルギー情報サイト 2025年1月8日)
2026年の稼働目指す、コモンウェルスの核融合施設へ行ってみた(MIT Technology Review 2024年11月12日)
コモンウェルスは、野心的なタイムラインを計画している。2026年までにスパークの稼働を開始し、最初のプラズマを原子炉に入れるというのがその目標だ。同社は2027年までに、原子炉が稼働に必要とする以上のエネルギーをそこで生産できると実証する計画を立てている。
米TAEテクノロジーズ(カリフォルニア州)で、核融合発電の技術を実証する炉を2030年代に建設する計画を明らかにしています。
ティーエーイー・テクノロジーズの特徴(エネルギー情報サイト 2025年1月13日)
「コペルニクスは1〜2年後に完成する。その後5年ほどかけて実用化に向けた試験を繰り返す。その結果を踏まえて核融合発電の基盤となる炉としてダヴィンチを開発する予定だ」と説明した。順調に進めば、30年代の前半に建設が完了する見通し。
シャイン・テクノロジーズは核融合を用いて医療用アイソトープなどを製造しているようです。
シャイン・テクノロジーズの特徴(エネルギー情報サイト 2025年2月22日)
テック大手、次世代原子力に投資機運 数十億ドル規模に(日本経済新聞 2025年2月17日)
米シャイン・テクノロジーズ(SHINE Technologies)はこのトレンドを主導し、核融合技術を使って医療用放射性同位体を製造している。同社の施設「クリサリス(Chrysalis)」は核融合関連技術の実用性を実証するほか、年間数百万件の医療診断に使われる重要な放射性同位体「モリブデン99(Mo-99)」の世界の需要の3分の1以上を満たすと期待されている。
ヘリオン・エナジーは対話型AI(人工知能)「ChatGPT(チャットGPT)」で有名な資産家のサム・アルトマン氏がかなりの個人資産をつぎ込んでいるようです。その先行きは不透明ですが、計画はやはり野心的です。
アルトマン氏出資の核融合ベンチャーに不安、「究極の理想」実現可能か(Bloomberg 2024年7月19日)
2028年までに世界初の核融合発電所を開設し、マイクロソフトにその後すぐエネルギーを供給するという大胆な計画で同社は注目を集める。
無尽蔵のエネルギーを生み出し得る核融合ですので、今後も注視していきたいと思います。