世界における水素生産の現状

再エネ

日本および世界における水素生産の現状をまとめました。

まず、水素は基本的に「1次エネルギー」ではありません。「1次エネルギー」とは化石燃料、原子力、太陽光・風力のように自然界から直接得られるエネルギーであり、水素は「1次エネルギー」を加工して製造されるエネルギー、すなわち「2次エネルギー」になります。最近では天然水素などの話題も上ってきていますが、まだまだ実用化はされていないようです。

水素の製造法はその方法によって以下のように色分けされています。

①グレー水素
化石燃料(石炭・天然ガス)から製造するためCO2を排出します。「グレー」となっていますが、基本的にCO2排出削減効果はありませんので、「ブラック」と言っても良いかもしれません。水素1kg製造におけるCO2排出量は12kg、水素1kg当たりの製造コストは1-6ドルと評価されています。

②ブルー水素
化石燃料(石炭・天然ガス)から製造するためCO2を排出しますが、そのCO2を地中に埋めるもしくは再利用する(これをCCUSと言います)ため、CO2排出量は少なくなります。水素1kg製造におけるCO2排出量は1kg、水素1kg当たりの製造コストは2-7ドルと評価されています。

③グリーン水素
再エネによる電気を使って水を電気分解して製造します。製造時にCO2は排出しませんので、最も理想的な製造方法です。水素1kg当たりの製造コストは3.5-12ドルと評価されています。

④ピンク水素
原子力発電による電気を使って水を電気分解して製造します。製造時にCO2排出量を排出しません。

国内における水素製造量は以下の通りで、経済産業省生産動態統計によると、2023年の生産量は5億1,357万8,000m3です。

Table 1 日本国内における水素生産量

2019 2020 2021 2022 2023
水素生産量(千m3) 627,668 585,429 645,254 610,784 513,578

国内においては岩谷産業が水素販売で国内70%のシェアを保有していますが、大半はグレー水素だと考えられます。

IEAが2024年10月2日に発表した報告書「Global Hydrogen Review(GHR)」によると世界における水素生産量は9,700万トンになりますが、クリーン水素の割合は1%にも満たず、ほとんどが化石燃料由来のグレー水素になります。

図より、2023年は60%以上が天然ガス由来の水素になります。さらに20%は石炭由来です。これらはCCUSを利用していませんので、CO2を排出しています。また、15%は石油化学における副産物として生産されています。

2025年現在の水素エネルギーは化石燃料に分類されても良いくらい、CO2を発生するエネルギーと捉えても良いのかもしれません。

【出典】
次世代エネルギー「水素」、そもそもどうやってつくる?(資源エネルギー庁 2021年10月12日)
水素エネルギーの基本情報と現状(CARBON TRUST 2024年6月)
経済産業省生産動態統計
Global Hydrogen Review 2024(IEA 2024年10月2日)

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