中国の石炭消費量は圧倒的です。
以下の表に中国の石炭消費量と世界の消費量に占めるシェアを示します。2023年までが速報値、2024年は評価値、2025-2027年は見通しです。
世界における石炭需給の状況(エネルギー情報サイト 2025年1月1日)
Table 1 中国および世界のの石炭消費量
2023 | 2024 | 2025 | 2026 | 2027 | |
中国(Mt) | 4883 | 4939 | 4940 | 4970 | 5005 |
世界(Mt) | 8687 | 8771 | 8801 | 8847 | 8873 |
中国割合(%) | 0.56 | 0.56 | 0.56 | 0.56 | 0.56 |
表で示すように、全世界の消費量の56%が中国という状況です。
石炭問題を解決するために中国が果たすべき役割は極めて大きいと言えます。
以下の表は世界における石炭火力発電所の開発状況です。
Table 2 中国および中国以外の石炭火力発電所の開発状況
年 | 中国(GW) | 中国以外(GW) | 中国割合(%) |
2015 | 738 | 758 | 0.49 |
2016 | 337 | 562 | 0.37 |
2017 | 229 | 459 | 0.33 |
2018 | 207 | 407 | 0.34 |
2019 | 208 | 326 | 0.39 |
2020 | 262 | 284 | 0.48 |
2021 | 264 | 218 | 0.55 |
2022 | 366 | 185 | 0.66 |
2023 | 408 | 170 | 0.71 |
中国と中国以外の世界で見たとき、石炭火力発電所の大半(2023年において71%)は中国で建設されていることがわかります。
中国内の発電量においても、。2021年末の実績では発電総量の約60%が石炭火力によるものであることから、中国が現時点で大きく石炭火力に依存していることは間違いありません。
ただ、中国においても石炭火力への依存度を減らそうとする動きは出てきているようです。特に、石炭を効率的に利用することで、石炭の消費量を減らす計画が出てきているようです。
中国の石炭火力発電の将来について(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 2024年11月28日)
全国平均電力供給における石炭消費量は 2005 年時には 374g/kWh だったが、その後各「五ヵ年計画」期間中に以下量を減少させてきている。
第 11 次五ヵ年計画(2006 年~2010 年):37.0g/kWh 減
第 12 次五ヵ年計画(2011 年~2015 年):17.6 g/kWh 減
第 13 次五ヵ年計画(2016 年~2020 年):9.9 g/kWh 減
第 14 次五ヵ年計画(2021 年~2025 年)の最初の 3 年間で 1.6 g/kWh を減少させており、
2023年には6,000kW以上の火力発電所における石炭消費量は 301.6g/kWh まで減少させてきた。
g/kWhとはkWhの電力を発電するために石炭をどれだけ使用するかを示した値です。2005年時に374g/kWhであった石炭使用量が2023年には301.6g/kWhまで減少しており、一定程度の成果が見られます。
また、環境保護団体のレポートによれば、石炭火力発電所の建設ペースは鈍化傾向にあるようです。
中国の石炭火力発電所の新設認可、8割減=環境団体報告(Reuters 2024年8月22日)
環境保護団体グリーンピース東アジアの報告書によると、中国が1─6月期に新たに認可した石炭火力発電所は14カ所、発電容量は計10.3ギガワットと、前年同期比79.3%減少した。
2024年の半年で新たに認可した石炭火力発電所が10.3GWであったと報告されており、2023年に開発中の石炭発電所が408GWであることを考えれば、伸びは鈍化している可能性があります。
今後も、中国の石炭火力の動向は注視していきたいと思います。