日本の電源構成およびエネルギーミックスの状況

政策・制度

日本の火力・原子力・再生可能エネルギーの発電量および発電割合について調べました。ソースは経産省が発表しているエネルギー需給実績です。

令和5年度(2023年度)エネルギー需給実績を取りまとめました(速報)(経産省 2024年11月22日)

各再エネ(水力、太陽光、風力、地熱、バイオマス)の細かい発電量・シェアは以下の記事にまとめています。

日本国内発電量における再エネのシェア(エネルギー情報サイト 2025年1月6日)

Fig.1 日本における各電源の発電量推移(億kWh)
Fig.2 日本における各電源の発電割合推移

まず目を引くのが、2011年を境に原子力が急激に減少している点です。福島第一原発(1F)事故を契機に、全ての原子炉が停止し、再度規制の審査を受けることになったのがその要因です。2014年ころから徐々に再稼働申請が認められ、再度原子力発電が増えていますが、1F事故前の水準には戻っていません。

原子力の穴埋めに火力発電(石炭、天然ガス、石油)が伸びているのがわかります。特に石油が伸びています。そもそも火力発電の主力は天然ガスと石炭であり、稼働可能な天然ガス・石炭の発電所はフル稼働していたものと考えられます。一方、石油火力発電所はコストがかかるということもあり、稼働率が低かったところ、原子力発電が急に停止したため、緊急的に稼働し始めたのでしょう。ただ、石油火力発電はコストがかかるため、徐々にそのシェアを落としています。

再エネの伸びは順調です。先の記事に示したように、再エネの伸びの大半は太陽光で説明できます(2010年度:0.30%、2023年度:9.79%)。水力は2023年度で7.59%、バイオマスは2023年度で4.07%ですので、これらが再エネの主力と言えるでしょう。

2023年度において火力発電の割合は68.7%と、日本の電力の割合は今でも化石燃料に依存しています。今後も再エネは太陽光発電を中心に一定程度期待できること、原子力も再稼働が継続することから、火力発電の割合は減少傾向になるとは考えられますが、ゼロエミッション電源(再エネ、原子力)が100%になるにはもう少し時間がかかりそうです。

Table 1 日本における各電源の発電量推移(億kWh)

年度 原子力 石炭 天然ガス 石油等 再エネ 総発電量
2010 2,882 3,199 3,339 983 1,091 11,494
2011 1,018 3,058 4,113 1,583 1,130 10,902
2012 159 3,340 4,320 1,885 1,073 10,778
2013 93 3,571 4,435 1,567 1,179 10,845
2014 0 3,544 4,552 1,161 1,325 10,583
2015 94 3,560 4,257 1,006 1,486 10,404
2016 181 3,447 4,350 998 1,537 10,512
2017 329 3,472 4,211 888 1,698 10,596
2018 649 3,311 4,013 725 1,773 10,471
2019 638 3,252 3,799 638 1,855 10,184
2020 388 3,093 3,888 633 1,983 9,985
2021 708 3,177 3,530 762 2,102 10,279
2022 561 3,046 3,384 839 2,188 10,017
2023 841 2,804 3,241 716 2,253 9,854

Table 2 日本における各電源の発割合推移

年度 原子力 石炭 天然ガス 石油等 再エネ
2010 25.10% 27.80% 29.00% 8.60% 9.49%
2011 9.30% 28.00% 37.70% 14.50% 10.37%
2012 1.50% 31.00% 40.10% 17.50% 9.96%
2013 0.90% 32.90% 40.90% 14.40% 10.87%
2014 0.00% 33.50% 43.00% 11.00% 12.52%
2015 0.90% 34.20% 40.90% 9.70% 14.28%
2016 1.70% 32.80% 41.40% 9.50% 14.62%
2017 3.10% 32.80% 39.70% 8.40% 16.02%
2018 6.20% 31.60% 38.30% 6.90% 16.93%
2019 6.30% 31.90% 37.30% 6.30% 18.21%
2020 3.90% 31.00% 38.90% 6.30% 19.86%
2021 6.90% 30.90% 34.30% 7.40% 20.45%
2022 5.60% 30.40% 33.80% 8.40% 21.84%
2023 8.50% 28.50% 32.90% 7.30% 22.86%

 

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