日本国内における洋上風力発電の開発状況

再エネ

日本で洋上風力発電に適した場所に対しては、経産省から「促進区域」の指定を受け、様々な恩恵が得られるようになっています。

再エネ海域利用法とは(経産省)

促進区域とは、自然的条件が適当であること、漁業や海運業等の先行利用に支障を及ぼさないこと、系統接続が適切に確保されること、等の要件に適合した一般海域内の区域のことで、洋上風力発電事業の実施のために指定され、その区域内では最大30年間の占用許可を事業者は得ることができます。

洋上風力については以下のような課題がありました。

洋上風力政策について(資源エネルギー庁, 2022年10月6日)

課題① 海域利用に関する統一的なルールがない

課題② 先行利用者との調整の枠組みが不明確

課題③ 高コスト

これに対して、以下のような対応を取るために、、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(以下、再エネ海域利用法)」が2019年4月1日より施行されました。

・国が、洋上風力発電事業を実施可能な促進区域を指定。公募を行って事業者を選定、長期占用を可能とする制度を創設。
→十分な占用期間(30年間)を担保し、事業の安定性を確保。

・関係者間の協議の場である協議会を設置。地元調整を円滑化。区域指定の際、関係省庁とも協議。他の公益との整合性を確認。
→ 事業者の予見可能性向上、負担軽減。

・価格等により事業者を公募・選定。
→ 競争を促してコストを低減。

現在(2023年11月時点)の促進区域は以下の通りです。

洋上風力発電に関する国内外の動向等について(資源エネルギー庁 2023年11月)

促進区域 万kW
①長崎県五島市沖(浮体)  1.7
②秋田県能代市・三種町・男鹿市沖  49.4
③秋田県由利本荘市沖  84.5
④千葉県銚子市沖  40.3
⑤秋田県八峰町能代市沖  36
⑥秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖  34
⑦新潟県村上市・胎内市沖  35,70
⑧長崎県西海市江島沖  42
⑨青森県沖日本海(南側)  60
⑩山形県遊佐町沖  45

各区域の選定業者は以下のように決まっています。

長崎県五島市沖における洋上風力発電事業者の選定について(経産省 2021年6月11日)

(仮)ごとう市沖洋上風力発電合同会社
構成員:戸田建設株式会社、ENEOS株式会社、大阪瓦斯株式会社、関西電力株式会社、株式会社INPEX、中部電力株式会社

「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖」、「秋田県由利本荘市沖」、「千葉県銚子市沖」における洋上風力発電事業者の選定について(経産省 2021年12月24日)

(1)秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖
①事業者名(コンソーシアム):秋田能代・三種・男鹿オフショアウィンド
②構成員:三菱商事エナジーソリューションズ株式会社、三菱商事株式会社、株式会社シーテック

(2)秋田県由利本荘市沖
①事業者名(コンソーシアム):秋田由利本荘オフショアウィンド
②構成員:三菱商事エナジーソリューションズ株式会社、三菱商事株式会社、株式会社ウェンティ・ジャパン、株式会社シーテック

(3)千葉県銚子市沖
①事業者名(コンソーシアム):千葉銚子オフショアウィンド
②構成員:三菱商事エナジーソリューションズ株式会社、三菱商事株式会社、株式会社シーテック

「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖」、「新潟県村上市及び胎内市沖」、「長崎県西海市江島沖」における洋上風力発電事業者の選定について(経産省 2023年12月13日)

(1)秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖
事業者名(コンソーシアム):男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energyコンソーシアム
構成員:株式会社JERA、電源開発株式会社、伊藤忠商事株式会社、東北電力株式会社

(2)新潟県村上市及び胎内市沖
事業者名(コンソーシアム):村上胎内洋上風力コンソーシアム
構成員:三井物産株式会社、RWE Offshore Wind Japan 村上胎内株式会社、大阪瓦斯株式会社

(3)長崎県西海市江島沖
事業者名(コンソーシアム):みらいえのしまコンソーシアム
構成員:住友商事株式会社、東京電力リニューアブルパワー株式会社

「秋田県八峰町及び能代市沖」における洋上風力発電事業者の選定結果等について(経産省 2024年3月22日)

事業者名:合同会社八峰能代沖洋上風力
構成員:ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社、イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパン株式会社、東北電力株式会社

洋上風力は日本国内における有望な電源の一つとなりますので、今後も注視していきたいと思います。

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