日本国内の発電量において再生可能エネルギー(水力、太陽光、風力、地熱、バイオマス)が占める割合を調べました。
令和5年度(2023年度)エネルギー需給実績を取りまとめました(速報)(経産省 2024年11月22日)
Table 1 再エネの発電量推移(億kWh)
年度 | 総発電量 | 水力 | 太陽光 | 風力 | 地熱 | バイオマス |
2010 | 11,494 | 838 | 35 | 40 | 26 | 152 |
2011 | 10,902 | 849 | 48 | 47 | 27 | 159 |
2012 | 10,778 | 765 | 66 | 48 | 26 | 168 |
2013 | 10,845 | 794 | 129 | 52 | 26 | 178 |
2014 | 10,583 | 835 | 230 | 52 | 26 | 182 |
2015 | 10,404 | 871 | 348 | 56 | 26 | 185 |
2016 | 10,512 | 795 | 458 | 62 | 25 | 197 |
2017 | 10,596 | 838 | 551 | 65 | 25 | 219 |
2018 | 10,471 | 810 | 627 | 75 | 25 | 236 |
2019 | 10,184 | 796 | 694 | 76 | 28 | 261 |
2020 | 9,985 | 784 | 791 | 90 | 30 | 288 |
2021 | 10,279 | 785 | 861 | 94 | 30 | 332 |
2022 | 10,017 | 767 | 926 | 93 | 30 | 372 |
2023 | 9,854 | 748 | 965 | 105 | 34 | 401 |
Table 2 総発電量に占める再エネのシェア推移(%)
年度 | 水力 | 太陽光 | 風力 | 地熱 | バイオマス |
2010 | 7.29 | 0.30 | 0.35 | 0.23 | 1.32 |
2011 | 7.79 | 0.44 | 0.43 | 0.25 | 1.46 |
2012 | 7.10 | 0.61 | 0.45 | 0.24 | 1.56 |
2013 | 7.32 | 1.19 | 0.48 | 0.24 | 1.64 |
2014 | 7.89 | 2.17 | 0.49 | 0.25 | 1.72 |
2015 | 8.37 | 3.34 | 0.54 | 0.25 | 1.78 |
2016 | 7.56 | 4.36 | 0.59 | 0.24 | 1.87 |
2017 | 7.91 | 5.20 | 0.61 | 0.24 | 2.07 |
2018 | 7.74 | 5.99 | 0.72 | 0.24 | 2.25 |
2019 | 7.82 | 6.81 | 0.75 | 0.27 | 2.56 |
2020 | 7.85 | 7.92 | 0.90 | 0.30 | 2.88 |
2021 | 7.64 | 8.38 | 0.91 | 0.29 | 3.23 |
2022 | 7.66 | 9.24 | 0.93 | 0.30 | 3.71 |
2023 | 7.59 | 9.79 | 1.07 | 0.35 | 4.07 |
まず、水力の低下が気になります。これは水力発電で用いる設備の劣化や気候変動による降雨量の変化などの影響ではないかと考えられます。この傾向が続くのであれば、将来的に何らかの対策が必要になるかもしれません。
太陽光は順調な伸びを示していますが、伸びは鈍化傾向にあるようです。2015年度において118億kWhの伸びを示していましたが、2023年度は39億kWhしか伸びていません。おそらく太陽光発電に適した土地は使い尽くし、効率的に発電できる場所があまり残されていないのかもしれません。
風力は伸びてはいますが、2023年度で12億kWhであり、2011年度から2023年度まで平均で5億kWhの伸びに留まっています。今後の技術革新で大きく伸びる可能性は否定しませんが、そもそも風力発電はヨーロッパ、アメリカ、中国などでは主力発電システムとなっており、技術自体は成熟しているものと考えられます。おそらく日本国内において風力発電に適した土地が少ないのではないかと推察されます。
地熱はほぼ伸びていません。開発の困難さを考えれば、現時点では今後もその伸びは期待できません。
バイオマスも順調に伸びてはいますが、2021年度の44億kWhを記録した後、鈍化傾向にあるようです。発電可能なゴミ焼却炉の大多数は発電できるようになっていると思われますので、その伸びは限界があるかもしれません。海外からバイオマス燃料を輸入することも考えられますが、高コストになりやすく将来性に不安を残します。
第7次エネルギー基本計画で示された電源構成(2040年度)における各再エネの配分は以下の通りです。
エネルギー基本計画で示された電源構成の変遷(エネルギー情報サイト 2025年1月3日)
・地熱:1~2%
・バイオマス:5~6%
・風力:4~8%
・太陽光:23~29%
・水力:8~10%
後15年残されていますので、地熱の1%は達成するかもしれません。バイオマスも5%は達成するでしょう。風力は現在の伸びでは2%に達するのが限界ではないでしょうか。太陽光も現時点で9.79%ありますが、伸びは鈍化しており、20%を超えるのは困難かもしれません。水力は老朽化設備のリプレースなどにより8%まで戻す可能性はあります。
個人的な予測としては、
・地熱:1%
・バイオマス:5%
・風力:2%
・太陽光:20%
・水力:8%
・再エネ比率:36%程度
が現実的な目標ではないかと考えます。