地球温暖化を止めるためには、二酸化炭素に代表される温暖化ガス(GHG:Green House Gas)の排出を減らすしかありません。そのためにも、何が温暖化ガスを排出しているのかを知る必要があります。
少し古いデータですが、2019年における各セクターにおける温暖化ガスの排出源(主に二酸化炭素・メタン)を表1にまとめました。
UNEP Emissions Gap Report 2020
表1 各セクターにおける温暖化ガス排出割合
Sector | % of GHG |
Energy | 41 |
Transportations | 14 |
Industry | 20 |
Agriculture and Waste | 15 |
Others | 10 |
エネルギーセクターでは発電や熱利用のため石炭・天然ガス・原油などを用いた場合に二酸化炭素などが排出されます。天然ガス採掘ではメタンが漏えいすることも問題となっています。
輸送セクターは車、飛行機、船における燃料利用が主な要因です。
産業セクターは化学工業、セメント、製鉄においても大量の二酸化炭素などが排出されています。特に、セメントが9%示しています。
農業および廃棄物セクターでは肥料の利用や牛のゲップ、埋め立てられたゴミなどによりメタンなどが排出されています。農業に関わる土地利用変化(Land Use Change)から生じる温暖化ガスは全体の11%を占めています。
このように見れば、エネルギーセクターが圧倒的な温暖化ガスの排出源であり、このセクターが改善しなければいけないことがわかります。
図1は化石燃料由来の二酸化炭素の中で、各エネルギー源ごとの排出割合を示した図となります。

本資料によれば、石炭が40%、原油が32%、天然ガスが21%、セメントが5%となっています。原油や天然ガスは再エネや原子力による電気でカバーすることができるかもしれません。一方、石炭については石炭発電は主要因の一つですが、製鉄でも石炭は還元剤として使用されることから、必ずしも再エネなどでは解決せず、水素を用いた製鉄技術の確立などが必要となります。
セメントはコンクリートの材料であり、コンクリートを用いない現代社会は考えにくいことから、これも解決が難しい課題の一つです。
さらに、農業セクターでは肥料の利用や畜産からもメタンなども温暖化ガスが放出されており、解決の難しい問題の一つとなっています。肉食を減らすことで温暖化ガスを抑制することは可能ですが、根本的な解決にはならないでしょう。
カーボンニュートラル(温暖化ガスの排出をゼロにする)を達成するための道のりは、決して簡単なものではないことがわかります。