現在開発されている新型の軽水炉(革新軽水炉)について、特に安全性の観点からまとめてみました。
三菱重工はSRZ-1200を開発しています。三菱はPWR(加圧水型原子炉)です。
新たな安全メカニズムとして、プラントの状態に応じて自動作動する設備(パッシブ設備)である高性能蓄圧タンクや世界最新技術の溶融炉心対策であるコアキャッチャ(溶融デブリを格納容器内で確実に保持・冷却する設備)を設置します。 さらに、万一の重大事故時に放出される放射能量を低減し、影響を発電所敷地内に留めるためのシステムの設計にも取り組みます。
溶融したウラン燃料(燃料デブリ)が圧力容器を突き破って落下した場合、その燃料デブリを受け止め冷却する機能(コアキャッチャ)が一つの売りとなっているようです。さらに、フィルタベントシステムにより、セシウムやヨウ素を除去しながら格納容器を減圧できることも大きな魅力です。
日立GEはBWRX-300を開発しています。いわゆるBWR(沸騰水型原子炉)の小型炉(SMR)に該当します。
隔離弁一体型原子炉と静的安全性を組み合わせた革新的な安全システムにより、冷却材喪失事故のリスクを実質的に排除し、運転員操作、電源なしに7日間の安全確保が可能です。
静的安全性とは運転員が操作しなくても、電源を喪失しても自動で原子炉を冷却できる仕組みです。小型炉は出力が小さいため、静的安全性を持つ冷却システムのみで原子炉を冷却し続けられる可能性があります。もちろん、期待通りに全ての機器が動作するかどうかは事故が起こってみないとわかりませんが。
東芝は革新軽水炉iBRを開発しています。大型のBWRです。
ポンプなどの装置が不要な革新的格納容器冷却システム(iPCCS)、ウルトラコンデンサ(UC)、革新的コアキャッチャー(iCC)、放射性物質(FP)を封じ込める静的フィルターシステム(IFVS)などを備え、万が一事故が発生した場合でも緊急避難が不要、土地汚染を防止することができる安全コンセプトです
東芝も同様に静的安全性、コアキャッチャ、フィルターシステムなどを売りとしています。出力は800MWe, 1000MWe, 1350MWe, 1600MWeが設計されているようです。
今後も原子力を使い続けるなら、古い原子炉よりも新しい安全性を備えた原子炉の方が、より安心して使えるのではないかと思います。
その意味で、60年、80年と古い炉を使い続けるよりも、早めにリプレースしてしまった方が良いのではないでしょうか。