日本の鉱物性燃料の輸入状況

化石燃料

日本が輸入している鉱物性燃料(原油、LNG、液化石油ガス、石炭)の状況を調べました。ソースは財務省の貿易統計です。

輸入数量について

Fig 1 鉱物性燃料の輸入数量

原油および粗油は主にガソリンや発電用に利用されるものですが、輸入数量はこの10年間で下落傾向を示しています。車の燃費の改善などが寄与しているものと考えられます。また、再エネの普及やLNG発電への切り替えにより発電用に用いられる原油も減少しているものと考えられます。

液化天然ガス(LNG)の輸入数量も減少傾向を示しています。これは原子力発電の再稼働により火力発電そのものが減少傾向にあることが影響しているものと考えられます。

液化石油ガスはいわゆるプロパンガス(LPガス)です。都市ガス(LNGが原料)の普及によりそもそもプロパンガスの利用者が減少傾向にあるため、輸入数量も減少傾向にあるようです。

石炭の輸入数量も減少傾向です。そもそも石炭は最もCO2排出するエネルギー源であり、地球温暖化対策の一環として可能な限り用いない方向に向かっています。今後も減少傾向が継続するものと考えられます。

全ての鉱物性燃料において2020年に大きく下落しているのは、コロナによるロックダウンなどの影響だと考えられます。

輸入価額について

Fig 2 鉱物性燃料の輸入価額(百万円)

価額は概ね数量に比例して増減しますが、2015年ころから一時急減しています。これはシェールガス革命などにより原油価格が急落したことによるものです。一方で、2022年に急増しています。ウクライナ戦争によりロシア産のLNGや石炭の供給が減ったこと、コロナにより原油や石炭などを減産していたことなどが影響し、燃料価格が急激に上昇したことが背景にあります。2023年に入ると燃料価格は落ち着きましたが、円安が進んだことから引き続き輸入価額は高い水準となっています。

2024年以降、輸入数量は再エネの普及、原発の再稼働、車の燃費改善の影響により微減していくと予想されますが、円安は継続していることから輸入価額は高い水準になると予想されます。

【出典】
財務省貿易統計

Table 1 鉱物性燃料の輸入数量

  原油及び粗油
(千KL)
液化天然ガス
(千トン)
液化石油ガス
(千トン)
石炭
(千トン)
2013 211,750 87,491 12,120 191,544
2014 200,137 88,506 11,669 188,409
2015 195,499 85,044 10,986 190,645
2016 194,610 83,340 10,900 189,732
2017 186,731 83,632 10,774 192,839
2018 175,897 82,852 10,734 189,320
2019 173,864 77,327 10,519 186,178
2020 146,026 74,464 9,796 173,730
2021 144,310 74,316 10,144 182,615
2022 158,909 71,998 10,479 183,005
2023 148,596 66,151 10,237 166,982

Table 2 鉱物性燃料の輸入価額(百万円)

  原油及び粗油 液化天然ガス 液化石油ガス 石炭 鉱物性燃料
2013 14,244,807 7,058,951 1,072,275 2,307,298 27,443,830
2014 13,873,425 7,850,896 1,086,472 2,085,513 27,692,447
2015 8,184,755 5,514,121 650,655 1,974,300 18,218,146
2016 5,531,894 3,281,622 447,491 1,665,166 12,052,007
2017 7,154,941 3,917,268 604,922 2,570,263 15,839,992
2018 8,906,273 4,738,939 690,892 2,812,124 19,294,048
2019 7,969,046 4,349,779 532,751 2,528,243 16,950,648
2020 4,646,424 3,205,056 430,481 1,707,598 11,254,099
2021 6,929,115 4,277,243 733,499 2,801,319 17,007,139
2022 13,452,745 8,461,422 1,038,479 7,819,908 33,699,031
2023 11,363,862 6,518,334 882,145 5,872,356 27,345,603

 

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