風力発電は日本のエネルギーミックスを考える上で大変需要な電源ですが、現状は普及が進んでいません。
2023年時点で風力発電の発電量は1.07%にすぎません。一方、第7次エネルギー基本計画によれば2040年度において、風力発電は日本全体の電力需要の4~8%を賄うとされています。
日本国内発電量における再エネのシェア(エネルギー情報サイト 2025年1月6日)
エネルギー基本計画で示された電源構成の変遷(エネルギー情報サイト 2025年1月3日)
風力発電を普及させるためには、洋上風力発電が重要な役割を果たすと考えられます。特に、日本近海は浅い海域(着床式は水深50m程度まで)ではないため、深い海域でも設置できる浮体式洋上風力発電の開発が必須となります。
浮体式風力発電の開発の現状をまとめました。
浮体式風力発電の開発は二つのフェーズに分けて進められており、フェーズ1においては、以下の開発事業が進められました。
①次世代風車技術開発事業
②浮体式基礎製造・設置低コスト化技術開発事業
③洋上風力関連電気システム技術開発事業
④洋上風力運転保守高度化事業

フェーズ2は実証事業であり、最大8年の補助事業(国から開発費用の一部に対して補助金が出る)となります。予算規模は850億円です。本事業の候補地として、2023年10月に北海道の石狩市浜益沖と岩宇・南後志地区沖、秋田県の南部沖、愛知県の田原市・豊橋市沖の4区域が選ばれました。そして、2024年6月に秋田県の南部沖、愛知県の田原市・豊橋市沖の2区域が選ばれています。支援規模は850億円、事業期間は2024年度~2030年度です。
<実施概要>
① 低コスト化による海外展開を見据えた秋田県南部沖浮体式洋上風力実証事業
【事業者名】
丸紅洋上風力開発株式会社、東北電力株式会社、秋田県南部沖浮体式洋上風力株式会社、ジャパン マリンユナイテッド株式会社、東亜建設工業株式会社、東京製綱繊維ロープ株式会社、関電プラント株式会社、JFEエンジニアリング株式会社、中日本航空株式会社
【計画概要】
風車出力:15MW超
風車基数:2基
浮体形式:セミサブ浮体
② 愛知県沖浮体式洋上風力実証事業
【事業者名】
株式会社シーテック、日立造船株式会社、鹿島建設株式会社、株式会社北拓、株式会社商船三井
【計画概要】
風車出力:15MW超
風車基数:1基
浮体形式:セミサブ浮体
実証事業の今後が楽しみですが、2030年度まで実証事業となると本格普及はその後になりますので、2040年度のエネルギーミックス目標(風力発電4~8%)に間に合うのかが少々心配です。
【出典】
浮体式洋上風力導入に向けた研究開発プロジェクト等の実施状況(資源エネルギー庁 2023年8月)
グリーンイノベーション基金事業で新たに「浮体式洋上風力実証事業」に着手(NEDO 2024年6月11日)
浮体式洋上風力発電、実証へ4候補 経産省が区域選定(日本経済新聞 2023年10月3日)
浮体式洋上風力の実証に4区域、北海道・秋田・愛知で(メガソーラービジネス 2023年10月5日)
浮体式洋上風力実証事業「フェーズ2」 秋田県南部沖と愛知県田原市・豊橋市沖の2海域を選定(Wind Journal 2024年6月11日)