日本の原油消費量(特に燃料油)の近年の動向ををまとめました。ソースは経産省がまとめている石油統計です。
全体の消費量は2016年をピークに減少傾向にあります。コロナのロックダウンの影響で2021年が大きく落ち込み、2022年に一度揺り戻しがありますが、その後も減少傾向は継続中です。


ガソリン
車の燃費改善、ハイブリッド車の普及が大きな減少要因と考えられます。電気自動車(EV)が普及すれば、さらに消費量は減少するかもしれませんが、現在の日本のEV普及率を考えればもう少し将来の話になるかもしれません。
ナフサ
ナフサはプラスチックの原料であり、地球温暖化問題の観点から、プラスチック製品の消費が減少していることがが大きな要因と考えられます。まだまだ削減余地はあるように思いますので、現象傾向は継続するかもしれません。
ジェット燃料
コロナの影響で2021年に大きく減少していますが、最近は持ち直しています。2023年時点で2019年の消費量までは回復していないようです。2024年は円安の影響で海外旅行を避ける傾向にあるのも一つの減少要因と考えられます。バイオ燃料が普及すればさらに減少するかもしれません。
灯油
エアコンやヒートポンプの普及により、徐々に灯油ストーブが使われなくなっていることが大きな減少要因と考えられます。ヒートポンプ式の暖房は今後も普及する可能性は高いため、減少傾向は継続すると考えられます。
軽油
ディーゼルエンジンの燃料です。やはりディーゼル車の燃費改善の影響で減少傾向にあります。
重油
主に船舶のエンジン、ボイラー・ビル暖房、発電や化学・紙パルプ工業などに利用されます。二酸化炭素排出削減の観点からガスボイラーが普及し始めていること、熱効率が改善していることなどにより消費量は減少傾向にあります。
車の燃費、ボイラーの熱効率の改善にも限界がありますが、減少傾向は当面継続すると予想されます。
Table 1 日本の原油および燃料油消費量(千kL)
原油消費量 | ガソリン | ナフサ | ジェット燃料 | 灯油 | 軽油 | 重油 | |
2015 | 189,330 | 53,113 | 46,560 | 5,488 | 15,878 | 33,665 | 27,309 |
2016 | 191,120 | 52,849 | 44,614 | 5,327 | 16,343 | 33,372 | 25,794 |
2017 | 186,786 | 51,904 | 45,948 | 5,243 | 16,666 | 33,664 | 22,174 |
2018 | 177,771 | 50,999 | 43,330 | 4,848 | 15,358 | 33,852 | 21,393 |
2019 | 177,048 | 49,785 | 43,769 | 5,199 | 14,355 | 34,042 | 18,365 |
2020 | 145,230 | 46,052 | 40,055 | 3,245 | 14,075 | 32,037 | 16,252 |
2021 | 144,648 | 44,768 | 42,791 | 3,175 | 13,509 | 32,140 | 17,833 |
2022 | 156,576 | 44,781 | 37,985 | 3,806 | 13,039 | 32,039 | 20,155 |
2023 | 147,886 | 44,645 | 36,785 | 4,294 | 11,906 | 31,391 | 17,802 |